アストルティア考古学の24回目は、「人間の神様」の考察です。
全3回を予定しているシリーズの中編です。

なお、ストーリーのネタバレを含んでますので、
その点をご同意頂ける方だけ、続きをご覧下さい。

【アストルティア考古学シリーズ】
 ・ 短評Ver.1 冥王編 神話篇
 ・ 配信クエ カミハルムイ メギストリス
 カンダタ ダーマ

 ・ 光と魔瘴 1 2 3  ・ 赤い月 1 2
  ・ レンダーシア大陸 1 2
 ・ 錬金術 1
 2 3  ・ 創生の渦 1 2  ・ 運命の特異点 1 2
 ・ 光の勇者 1
 2  ・ 叡智の冠 1 2  ・ 竜族と創造神 1 2
 
ロッサム博士


ロザリー
 最近、ゲーム中にも考古学者が出始めたよね。

ロザリー
 そこ気にするとこですか?

ロザリー
 しかもロッサム博士からは、衝撃の名前が!

ロザリー
 神話時代の創造神・グランゼニスですね。



グランゼニス

創造神グランゼニスは、『9』に出てきた神様です。

かつては人間を自身の失敗作だと考え、
地上もろとも滅ぼそうとした危ない前科があるのですが、
娘である女神セレシアに制止され思い直したという、
なかなかの親馬鹿っぷり。


ともあれ、そんな神様には最大の謎がありました。
グランゼニスは、天使界の功績者・堕天使エルギオスの攻撃を受けて、
神の国から姿を消していた(死んだと思われていた)はず。

そのお方がなぜ、『9』の世界の神様であるのに、
アストルティアの歴史に名前が刻まれているのか?

女神セレシアの台詞を振り返ってみましょう。


セレシア >
 父 グランゼニスが ほろびたのなら
 私も この世界もとうに 消え去っているはず。

 私には わかります。
 神の国には いませんが
 父なる神は たしかに おられます。



ロザリー
 もともとはアストルティアに居なかったはずなのよ。

ロザリー
 ぜんぜん別の世界ですからね。

ロザリー
 消息を掴みたいと思ってたら、まさかアストルティアで見つかるとは。

ロザリー
 『9』の世界から、この世界にやってきたんでしょうか?



天の箱舟

『9』の世界からやってきたのは、グランゼニスだけではありません。
初代王者、聖竜グレイナル、天の箱舟なども、
なぜかアストルティアでその存在を確認されています。



天使像

初代王者が言うには、かつて聖竜グレイナルと共に、
天上より舞い降り、災厄に挑んだそうです。
災厄の王はアストルティアの帝王であり、『9』の世界には登場しません。

即ち、グレイナル叙事詩が語った初代王者を背に乗せて戦う話は、
『9』のドミールの里のエピソードではなく、
この世界で災厄の王と戦った時の事を明確に指しています。


ロザリー
 つまり、初代王者、グレイナル、天の箱舟は…。

ロザリー
 消息を絶ったグランゼニスを追って、アストルティアにやってきたって事ね。



継承の間

しかしよくよく考えれば、不思議ですよね?

これらは全て神の創造物であり、女神セレシアの言う事が確かならば、
創造神の死と共に消滅するはずなのです。



ピラミッドの碑文には、

 神々の時代 勇気の象徴である 人間の神
 グランゼニスは 命の尽き果てよう時
 自らの血に守護のチカラを込め 地上に落とした。



とありますので、グランゼニスは確かに神の緋石を残し、
その後、死を迎えた事がはっきりしています。

さらには、その神の緋石も、


ロッサム博士
 本来 魔族には触れることすら かないませんが
 長い歴史の中で チカラは衰えていき 今では
 レンダーシアを守るだけで 精一杯の状態です。



という事だそうなので、レンダーシアの外周を走る大地の箱舟はもちろん、
ゴブル砂漠の天使像、モリナラ大森林のグレイナル叙事詩が、
神の力が届かないとおぼしき場所で消滅もせずに留まっているのは、
普通に考えれば、辻褄が合いません。

それどころか、竜族に至っては今の時代も力が衰えるどころか、
絶大な力をふるってるっぽいですよね。


ロザリー
 グランゼニスは、今もどこかで生きている…?

ロザリー
 グランゼドーラ城にある本にも、「休息を必要とした」とあるね。

ロザリー
 単に地上から離れただけ、という事でしょうか。

ロザリー
 いや、それだと竜族の力の秘密に説明が付かないよ。



―――


竜族

 巨大な竜が 地上を襲っている絵のようだ。


ロザリー
 古き神の遺跡にあったコレが気になってきたわ。

ロザリー
 人間の神であるグランゼニスを祀る遺跡に、なぜ竜の絵が…?



『9』のお話が旧約聖書の創世記をベースにしている事は、
過去の考察でも繰り返し触れてきた通りです。

ですが、禁断の果実を口にした天上の住人が、
神様と新たな約束を交わすお話は、新約聖書の方の解釈になります。


三位一体  教会

 三位一体 - Wikipedia


新約聖書、即ちキリストの教えの中では、神様には実体がありません。
父神(Pater)、御子(Filius)、聖霊(Spiritus Sanctus)という、
3つの存在(位格)を束ねた中心定義の事を「神」と呼び、信仰の対象としています。


ロザリー
 どことなく教会マークに似てるんですね。

ロザリー
 十字架がダメだったから、っていう安直な理由じゃないのかもよ。



これをドラクエに当てはめてみましょう。

父神は、もちろん「父なる神」と呼ばれたグランゼニスの事です。
御子は、神の創造物、『10』で言えば神の力を授かる初代王者などを指します。
聖霊は、人間の中に備わっている「星のオーラ」の事です。

旧約=古い契約が、初代王者がグランゼニスと交わした、
星のオーラを集めて女神の果実を実らせる」役割の事だとすると、
新約=新しい契約とは、女神セレシアと交わした、
人間たちの世界の守り人になって下さい」という役割が当てはまります。
初代王者はこの契約のもと、アストルティアに来たと仮定します。


グランゼニス、神の創造物、星のオーラ、これらを三位一体であるとすると、
初代王者や竜族がこの世界に居る意味が俄然変わってきます。

父神であるグランゼニスが姿を消した今、
彼らは勇者と同じく、神と同一視される存在なのです。




グレイナル

(引用:七つの海の空の上♪様より)

ロザリー
 「竜族」と言えば、グレイナルが最初に名乗ってたわね。

ロザリー
 かつてはあの竜王も、竜族の名を自らの証としていました。



飛竜

 下等種族の○○風情
 飛竜を従えようとは 片腹痛い。

 誇り高き 飛竜が従うは
 選ばれし民 竜族のみ!



竜守りのワンドーラおじいちゃんが「竜の王様」と呼んだ巨大な竜は、
主人公を「下等種族」と見下しており、
竜族こそが「選ばれし民」だとはっきり言っています。

では、いったい誰に選ばれたのか?


星のオーラを集める契約を神と交わした天使が暮らす、
天使界の『世界創造』という本を参考にすると、


 神は はじめに人間界を創り
 そのあとに 天使を創った。
 天使の長い寿命や 空を飛ぶつばさ
 頭の光輪は 人間たちよりも
 すぐれた存在である あかし。
 かよわく おろかな人間たちを
 守り みちびくため
 神より 与えられたものなのだ。


グランゼニスは、オーラ集めを命じている初代王者らを、
人間より格上の存在として作っています。
神と直接的な関与がある者には、相応の神格が与えられるのでしょう。

という事はやはり、神の国に立ち入る事を許された竜族も格上であり、
神から光の力を分け与えられた勇者のように、
グランゼニスによって選ばれた神の使いであると推察されます。


父神がたとえ滅んでも、御子である勇者や竜族は、
初代王者やグレイナルのように、その影響を受けないのでしょう。
なぜなら、女神と新しい契約を交わし、父神から解放されているからです。
三位一体の図に書かれている通り、Non Est(Is Not=関係ない)です。

竜族はグランゼニスとは独立した神格を既に持っているでしょうから、
その権勢が衰える事は無いという事です。


ワンドーラ


ロザリー
 「神々しい」ってはっきり言っちゃってるしね!

ロザリー
 明らかに神格化されているようです。



創造神が作った創造物は地上に残されたままです。
初代王者も、グレイナルも、意識体としてこの世界に留まり続けています。

神は遥か昔に滅びを迎え、神の使いである天使たちも
星空の守り人として地上から離れた今では、
地上を統治する神は、竜族であると言っても差し支えありません。



古き神の遺跡にあった地上を襲う竜の壁画は、
かつて地上を滅ぼそうとした創造神の姿とも重なりますね。


結論: 竜族は神に等しい


―――


となると、気になるのは竜族の長について。

人間に種族神が居たという事は、もちろん竜族にも種族神が、
つまり竜族の神様が居ると考えられます。


次回は満を持して、竜族の謎
(まさにDragon Quest)に迫りたいと思います。(竜族と創造神 (3)へ続く)