アストルティア考古学の31回目は、「主人公」の考察です。
全2回を予定しているシリーズの後編です。

なお、ストーリーのネタバレを含んでますので、
その点をご同意頂ける方だけ、続きをご覧下さい。

【アストルティア考古学シリーズ】
 ・ 短評Ver.1 冥王編 神話篇
 ・ 短評Ver.2 蒼天のソウラ 夢現篇

 ・ 配信クエ カミハルムイ メギストリス
 カンダタ ダーマ

 ・ 光と魔瘴 1 2 3  ・ 赤い月 1 2
  ・ レンダーシア大陸 1 2
 ・ 錬金術 1
 2 3  ・ 創生の渦 1 2  ・ 運命の特異点 1 2
 ・ 光の勇者 1
 2  ・ 叡智の冠 1 2  ・ 竜族と創造神 1 2 3
 ・ 進化の秘法 1
 2  ・ 時渡りの術 1 2








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 なんと…最後は私自身の考察!?

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 そうそう。









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 私がプリンセスの生まれ変わりで、実は変身が出来る…!

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 ぜったい違う。









カメさまの申し子であり、時渡りの術者であり、
3代目時の王者で、勇者の盟友でもある。

様々な肩書きを持つ主人公とはいったい何者なのか。

それでは、どうぞ。


―――


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 私はここに帰ってきた…。

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 ロザリーの故郷、エテーネの島ですね。



今から2年前、中の人はWiiUでアストルティアにデビューしました。

それから深遠な世界観にどっぷりはまり、
世界の疑問を解き明かしたい欲求がむくむく沸いてきて
すぐに考察記事を書くようになったのですが、

疑問の最初、いの一番に引っかかっていたキーワードが、
この時すでに、私の中にはありました。


それが、エテーネという言葉です。


 『カメさまの伝説』

 はるか昔 使命を終えて
 空から舞い降りた カメさまは
 世界の中心にある島に 小さな楽園を作りました。

 そこに エテーネの民と呼ばれる
 特別な人間だけを住まわせた カメさまは
 彼らが平和に暮らせるよう 見守り続けたのです。



エテーネ


エテーネとは即ち、eterne(永遠)を意味する形容詞。
「永遠」と呼ばれる民が、楽園なる場所に住んでいるというのです。



どうにもゲームの造語らしくない、
英語やラテン語に精通する人が付けそうなネーミング。

そこには制作者の特別な意図が感じられました。


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_2ufqsyraCYX05o1402383909_1402383914 エテーネの村は、天馬ファルシオンに選ばれた
 特別な人達が住んでるんですっけ。

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 そうそう、時渡りの術が使える民が住んでるんだよ。



疑問はすぐ、確信に変わりました。


竜族


「永遠」というキーワードが、
いしずえの森の石碑からあっさり見つかったからです。


その後、神話篇のストーリーを経て、
アストルティアが創生神話から続く世界であると確認してから、
私は「永遠」のキーワードが指す意味と
エテーネの民を結び付ける、ある仮説を立てました。


エテーネの島とは、旧約聖書に出てくる
「エデンの園」の事ではないか?



―――


エデンの園

(引用:トマス・コール作 『エデンの園』


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 エデンの園、ですか。

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 神様が創った地上の楽園(paradise)だね。

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 地上の楽園…それって…!

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 そう、エテーネの村にそっくりなのよ!



エデンの園は、人類の始祖であるアダムとイヴが住んでいた、
創造神が治める地上の楽園の事です。
神と共に暮らしていた頃の人類は、苦痛も無く、老いる事も無い、
永遠の安住が約束されていました。

アダムとイヴは禁断の果実を口にする罪を犯し、
神の怒りを買って楽園から追放され、
その命が限りあるものになってしまいますが、
アダムの子孫であるキリストが人類全ての罪を背負って刑死した事で、
キリストのように神の御心に近い魂だけが、
死後に楽園への回帰を許される、というのが聖書の教義です。


エデンの戦士たち


ドラクエシリーズで「エデン」の名を冠したタイトルと言えば、
『ドラクエ7』が挙げられます。

物語の舞台となったエスタード島は、作中の石碑に
「水も 森も 生き物も 食べ物も つきることはない」
地上の楽園として記されています。

まるでエテーネの島みたいですよね!


それもそのはず、エテーネの村には、
エスタード島との共通点が1つだけ存在するのです。



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_2ufqsyraCYX05o1402383909_1402383914 こ、これは…! 鳥の意匠!

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 なるほど…全体像が見えてきたよ。



天空に翼を広げた鳥の意匠は、
かつてエスタード島の地下にある遺跡の扉にありました。

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(参照:時渡りの術とラーミア&エスタークの関係

そして、時の王者の証である王者セットの胸にも、
同じマークも刻まれてましたね。


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エテーネの村には、至る所に
不死鳥を連想させる意匠が施されています。

これらの事実から、エテーネの島がエスタード島と同様に
不死鳥にまつわる地であるのが分かります。


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 亀ってもともと不老長寿の象徴だし。

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 永遠の象徴である不死鳥とも相関がある、と…?

HiboOgSQT5skLRf1402383890_1402383895 エテーネのみんなは、カメさまに見守られながら、
 永遠の安住が約束されていたんだよ。

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 まるでエデンの園に住んでいたアダムとイヴのようですね。



ラーミア


エテーネの島が神話に謳われた永遠の楽園だと定義すれば、
そこに住む人達がどんな意味を持つのか、
これまで行ってきた考察が1本の線に繋がります。


エテーネとは、不死鳥のように死んでも生き返る永遠の魂を持ち、
奈落の門の先の神の住む世界へと還る事が確約された、
万世不滅の民族
だと考えられるのです。



―――


エテーネの民が魂を取り出されるシーンは、
前に1度だけ見ているはずです。

賢者ホーローの力でエテーネの姿を取り戻す時です。

ホーロー

ホーロー


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 そう言えばこの爺さんも、エテーネの生き残りなんだよね。

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 叡智の冠をつかまえて爺さん呼ばわりですか…!

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 エテーネの古株だけに、魂の扱い方を知ってたんじゃないかな?

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 アバ様も魂だけ村に留まっていました。



エテーネの村には、肉体から魂が解放されて、
奈落の門を目指す事になった数奇な3人が居ると仮定できます。

過去に飛ばされた主人公の兄弟、
竜族へと転生しこれから起こる未来を視たシンイ、
そして時渡りの術者として覚醒した主人公です。


このうち、主人公だけがいまだにどのような人物であるのか、
色んな肩書きがある割には、よく分かっていません。


リンジャ

 我が子 ロザリーよ……
 この世界を愛し 強く生きろ。
 お前が よき友に出会えることを願っている。



しかしそのヒントは、リンジャクエスト第6話から
断片だけでも得る事が出来ます。


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 まさかのパパ登場!

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 これには流石に驚きましたね。



もしもエテーネの民が神から直接の加護を受け、
永遠の魂を約束されていたのだとしたら、
主人公は時渡りの術によって魂だけが5000年前からやってきた、
エテーネ王国の末裔では無いかと思われます。

『ドラクエ7』のシャークアイ方式です。 


『ドラクエ7』の主人公は、胎児だった頃に
魂だけが海賊シャークアイの妻・アニエスのお腹から
フィッシュベルに住むマーレに移し変えられ、現代の子として誕生します。

『ドラクエ10』の主人公も、同じエデンの末裔である事から、
エテーネ王国の王子が、エテーネの民の1人として生まれ変わった
悠久の時間を流浪する旅人であったのではないか、
という推測が成り立つのです。


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エテーネの民が持つ高潔な魂は、
神と共にあった頃の時代であったなら、
永久性・普遍性を失わずに安住していけたと思います。

しかし神はいずこへ去り、地上の楽園をも失っては、
いかに永遠の民であっても、苦痛や老いから逃れられなかったのでしょう。
現に冥王の襲来で全員死に絶えましたし。


そんな状況でも主人公は、永遠の名を冠する王国の血を強く引く、
5000年前からやってきた「申し子」ですから、
生き返しの儀に臨むにふさわしい、
不死鳥のごとき魂を損なわなかったに違いありません。


火の鳥 ラーミア

主人公が何度も生まれ変わって
永遠の時間をずっと生きているのだと想定すれば、
それは手塚治虫の『火の鳥』と同じ、生命を超越した存在です。


主人公の兄弟を過去、シンイ=クロウズを未来だと定義すれば、
主人公にとっては、どんな時代に移り飛んだとしても、
自分の生きる時間だけが現在(聖アウグスティヌスの時間論)だと言えます。

手塚治虫はこれを「宇宙生命(コスモゾーン)」と呼びましたが、
主人公もまさに、奈落の門の先にあるマクロコスモスと魂が融合し、
永遠を宿命付けられた存在なのでしょう。


時の王者の胸のマークを見た時から、
いつか不死鳥ラーミアが姿を現すものだと思ってましたが、
何の事はありませんでした。


「エテーネ(永遠)」は象徴的な意味で使われており、
その姿形が目には見えなくても、
火の鳥は主人公の中に居たのです。





フェニックス


HiboOgSQT5skLRf1402383890_1402383895 フェニックス・ロザリー!


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 言うと思ったよ!



結論: 主人公はラーミアの魂の持ち主


―――


ロザリー


『ドラクエ7』から足掛け15年、
長い、長ーい時間をかけた結論でした。

シナリオ原案の藤澤仁さんは、時間を越えた物語の着想と、
エテーネの民として生きる主人公の雛形が、
エスタード島のエデンの住人を描いた頃から頭の中にあったのだと思います。

一見すると見逃してしまうような伏線の数々を
注意深く拾い上げ、1本の線に紡いでいく作業は、
とても楽しく、驚きの連続でした。


藤澤さんの原案はVer.2までだそうで、
これから先は、藤澤さんの後を継いだ成田篤史さんの代が、
いよいよ本格的にスタートしていくのでしょう。
Ver.3のお話を引き続き楽しんで行きたいと思います。


ドラクエ10のシナリオ制作陣の皆様に、
不朽の名作が、永遠であるよう願いをこめて。

誠に有り難うございました。