アストルティア考古学の36回目は、「約束されし解放者」の考察です。
全2回を予定しているシリーズの後編です。

なお、ストーリーのネタバレを含んでますので、
その点をご同意頂ける方だけ、続きをご覧下さい。

【アストルティア考古学シリーズ】
 ・ 短評Ver.1 冥王編 神話篇
 ・ 短評Ver.2 蒼天のソウラ 夢現篇

 ・ 配信クエ カミハルムイ メギストリス
 カンダタ1 2 ダーマ

 ・ 光と魔瘴 1 2 3  ・ 赤い月 1 2
  ・ レンダーシア大陸 1 2
 ・ 錬金術 1
 2 3  ・ 創生の渦 1 2  ・ 運命の特異点 1 2
 ・ 光の勇者 1
 2  ・ 叡智の冠 1 2  ・ 竜族と創造神 1 2 3
 ・ 進化の秘法 1
 2  ・ 時渡りの術 1 2  ・ テンスの花 1 2
 ・ 神の器 1 2 New! 
 








ロザリー
 Ver.3.0では、ナドラガンドまで到達しなかったね。

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 代わりに五大陸の外堀を埋めてきましたよ。









以前のコラムで、成田さんの作るシナリオが
枝葉を残す構造になっていると解説しましたが…

どうやら今回のは、枝葉をばっさりカットするお話になっているようです。




それでは、どうぞ。


―――


総主教

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 「約束されし解放者」とは…?

ロザリー
 それ何の事かめっちゃ心当たりあるんだけど。

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 !?



見た目からしていかにもドラゴンっぽいこのおじいちゃん、
聖職者の最高位である「総主教」と呼ばれており、
竜族の種族神を信仰の対象としていました。


実はこの点が、3.0ストーリーの謎を解く最大の鍵。

主教という役職名は、正教会やイギリス国教会が使うもので、
ローマ・カトリック教会では使わないのです。

きっかけは16世紀の宗教改革にあります。
当時のカトリック教会は聖堂の建築費を免罪符の販売によって賄うなど、
聖職者の世俗化が進み、腐敗しきっていました。

厳格な信仰を望む人がカトリック教会と絶縁し、
新たに作った制度が「主教制」です。


総主教

ロザリー
 つまりこのおじいちゃんが総主教と呼ばれているなら…。

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 竜族の間では、種族神に対する信仰が極めて厳格であるという事ですね。



では、竜族の神とはいったいどのような存在なのか?

これは既に答えが出ていますね。


マスタードラゴン

【考察】25.マスタードラゴンと竜族の謎

竜族の神は、グレイナル・バルボロス・アギロゴスを束ねた
ゼニスドラゴン(マスタードラゴン)の事であり、
竜族はもともと、人間の種族神であるグランゼニスが創ったのです。



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 そう言えば、グランゼニス神を信仰してる教団もありませんでしたっけ?

ロザリー
 夢現篇に出てきた!



父神グランゼニスにとって、ゼニスドラゴンと竜族は、
人間族と同じく「」に当たります。

また、グランゼニスの力を分け与えられた人間=勇者の盟友が、
ドラゴンの背中に跨り、共に戦っているエピソードからも、
人間と竜族が協調関係にあった事は明白です。


なのに現在では、「父」と「子」をそれぞれ信仰し、
完全に袂を分かって暮らしている。


これとすごくよく似た話が、現実世界にあるんですよ。


ユダヤ教 キリスト教


ユダヤ教(左)と、キリスト教(右)です。

キリスト教は、ユダヤ教から派生した宗教であり、
もともとは同じ神を信仰していましたが、
救世主(メシア)の誕生により、神と再契約し直したのが、
キリスト教の教典である新約聖書です。


グランゼニスによる天地創造が、旧約聖書の創世記を基にしている事は、
これまで何度も説明してきた通りですが、
創世記には続きがあり、この後は聖地イスラエルを開いた
ユダヤの民の話へと移っていきます。

天地創造までのエピソードは、当時の多神教の考えを統一する為に
預言者であるモーセがこしらえたフィクションなんですが、
ユダヤ民族のイスラエル建国部分の一部は、
考古学的資料の裏付けにより、歴史的に事実であると証明されています。


こちらが、ユダヤ教とキリスト教の関係を端的に表した模式図。


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世界史の観点から見ても、
ユダヤ人ほど数奇な運命を辿った民族は居ません。


 B.C.2000頃
  始祖アブラハム、メソポタミアからカナン(後のイスラエル)へ移住

 B.C.1870頃
  飢饉によりエジプトに移住、以後400年間奴隷に

 B.C.1440頃
  出エジプト、預言者モーセの指導でカナンへ帰還する

 B.C.995頃
  イスラエル王国の成立、その後ソロモン王の下で栄華を極める

 B.C.606
  新バビロニア王国による侵攻、バビロン捕囚時代

 B.C.539
  ペルシア王国が新バビロニアを滅ぼす、イスラエルへ帰還

 A.D.70
  ローマ帝国による侵攻、イスラエル滅亡

 A.D.1948
  国連決議にてイスラエル共和国の独立が受諾、祖国を再建する



とまぁこんな風に、ユダヤ人の人達は
苦難に満ちた歴史を歩んできたんですが…


さて、前回の考察で述べた「神の器」ですが、
この言葉をやたら使っていたのが、バビロン捕囚時代の頃。

ユダヤの民が最も辛く苦しい時代に、神の教えを守り律法に従って生きる事を、
預言者達は何度も何度も、繰り返し伝え広めました。
人々は教えを信じ、祈り続けます。
その結果、聖地を侵攻したバビロニアは別の他国によって滅ぼされ、
収監されていたユダヤの民は解放されます。

解放されたユダヤの民は、神との関係修復を図り、
我々を救ってくれた神こそ唯一にして絶対であると信じるようになります。

ユダヤ教の成立です。


そしてこの頃から、ユダヤの民こそ神によって選ばれた、
唯一無二の民族であるという考え方が、信者の間で広まっていきました。

いわゆる、選民思想です。



これ、竜族のある人が同じ事を言ってましたよね?



アンテロ

> アンテロ
 ふん……。
 この程度で 勝ったつもりか?
 下等種族の分際で 片腹痛いわ!

 教えてやろう ロザリー……。
 選ばれし民 竜族の 絶対的な強さを!



ロザリー
 選ばれし民、だと…!

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 クロウズさんに続き2回目ですよこの台詞。

ロザリー
 わざわざ2回も強調するという事は?

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 深い意味があるって事ですね。



この「選ばれし民」という意味を、私は誤解をしていたようでした。

グランゼニスが人間より上位の存在として創ったからこう言ってるんだろうと、
ドラクエ的な解釈程度で済ませていたのですが、
どうやら竜族のルーツに連なる決定的な意味があったようで。

竜族が選民思想を持っている事を
ストーリー上で繰り返し説明している背景には、
竜族の神に対する深い信仰が隠されていたのです。


マスタードラゴン


竜族は、アストルティアから追い出されて苦難の道を辿った民であり、
唯一絶対の神・マスタードラゴン(仮)を厚く信仰しながら、
元の世界への帰還を祈り続けているのではないでしょうか。



―――


現実世界と1点だけ異なるのは、
グランゼニスとマスタードラゴン、それぞれの父子関係が、
ユダヤ教とキリスト教の関係と入れ替わってる事です。

しかしそれも、竜族の総主教の台詞を見れば、
どちらをユダヤの民に見立てているかすぐに分かります。


総主教

約束されし解放者とは、ユダヤ教では具体的に
救世主(メシア)の事を指します。


キリスト教では、救世主=キリストが既に2000年前に降臨していますので、
まだ現れていないといった、未然形にはならないはず。
つまり竜族を現実世界のユダヤ民族に見立て、
ストーリーのプロットを組んでいる事は間違いありません。


総主教の言う「約束」とは、預言者ダニエルの書に記された、
黙示的終末の事であると考えられます。

つまり、神によって選ばれし竜族だけがこの世界に繁栄し、
それ以外の種族はみな滅ぶという思想です。


ロザリー
 好々爺のような顔をして、なかなか危ない思想だな。

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 あのアンテロさんを指導した人だと考えれば…。

ロザリー
 ああなるほど、納得…。



そして「解放」とはもちろん、ナドラガンドでの苦難からの解放。

何が原因かはまだ分かりませんが、
ナドラガンドは神代の頃にアストルティアから切り離され、
奈落の門の奥に閉じ込められていた事だけは分かっています。


竜族

門に怨念が取り憑いてたの、覚えてますか?

とにかく門の奥に閉じ込められた事を今なおめっちゃ恨んでて、
こちらの世界に害意を抱いているのは伝わります。


アストルティアから切り離されたというからには、
以前はアストルティアのどこかに、ナドラガンドが存在したはずですよね?


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もしかして、レンダーシアの内海部分じゃないの?と。


ロザリー
 大陸を管理する種族神が、元を辿れば同じだからね。

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 決してありえない話ではないんでしょうか。



そうだとすると、かつて人間と竜族は同じ地で暮らしていた事になります。

もちろん同じグランゼニス神の子である、
人間とも仲良くやっていたと思います。


喧嘩別れの理由は色々と想像できますが、
私が考えるのは、グランゼニス教団との宗教的対立です。

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ユダヤ教がキリスト教と対立したのは、
救世主であるキリストをローマ帝国に告訴したのがユダヤ教徒で、
キリストを銀貨30枚で売った弟子もユダヤ人だった事がきっかけです。

キリスト教徒の中には、キリストを刑死させたのは、
ローマ帝国でもヘロデ王でもなく、ユダヤ人であるとする主張が根強くあります。


もしもこれまでの考察の流れが正しい方向に向かっているのであれば、
竜族の中に人間の神を裏切ったユダが居たはず。
はっきり言うと、グランゼニスが現世から姿を消した理由に、
ユダが関わっている可能性があります。

グランゼニス教団にとって、これは絶対に容認できない事でしょう。


竜族がマスタードラゴンを神として信仰し始めた経緯が明らかになれば、
グランゼニスとの関係も見えてくるのではないかと思います。


結論: 人間と竜族は信仰する神の違いから袂を分かった


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さてはて、次回はグランゼニス側=人間の方からの視点で、
主人公の兄弟の目的を考察したいと思います。

ロザリー
 それまでお楽しみに!

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 今後とも宜しくお願いします!