アストルティア考古学の43回目は、「常闇の聖戦」の考察です。

全3回を予定しているシリーズの前編です。

なお、ストーリーのネタバレを含んでますので、
その点をご同意頂ける方だけ、続きをご覧下さい。

【アストルティア考古学シリーズ】
 ・ 短評Ver.1 冥王編 神話篇
 ・ 短評Ver.2 蒼天のソウラ 夢現篇

 ・ 配信クエ カミハルムイ メギストリス
 カンダタ1 2 ダーマ

 ・ 光と魔瘴 1 2 3  ・ 赤い月 1 2
  ・ レンダーシア大陸 1 2
 ・ 錬金術 1
 2 3  ・ 創生の渦 1 2  ・ 運命の特異点 1 2
 ・ 光の勇者 1
 2  ・ 叡智の冠 1 2  ・ 竜族と創造神 1 2 3
 ・ 進化の秘法 1
 2  ・ 時渡りの術 1 2  ・ テンスの花 1 2
 ・ 神の器 1 2  ・世界樹の花 1 2  ・神話の塔 1 2
 ・ ナドラガ教団 1 2  ・聖鳥と太陽 1 New!
 








ロザリー
 毎回だけど、NPCが重要な台詞ぶっこんでくるよね。

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 今回はプリネラさんがそうだったんですか?









3.1後期で目玉コンテンツとして登場した、常闇の竜レグナードさん。

しかし考察勢にとっては竜討士の任務よりも、
竜守りの巫女が放った台詞の方がはるかに重要でした。




それでは、どうぞ。




―――


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> エルフの方よ。もし ウデに覚えがあるのなら
 私と契約を結び いにしえの竜と戦う
 竜討士と なっていただけないでしょうか?



ロザリー
 むむっ…こいつ、竜族じゃない!?

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 竜守りの巫女・プリネラさんですよ。



どうやらこのプリネラさん、
ナドラガンド出身ではないようでして。



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竜族の大きな特徴は、頭部から生えた角。
祭服を着た神官さんを見るとちゃんと帽子の中に納めています。

つーかお前その帽子どうやって被ったんだよ。
着脱不可能だろ。


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ところがプリネラさんが着ているフードには、
角が納まってる様子は見られません。

つまりこの人物、紛れもない人間族なのです。
人間・子供・女性の骨格をしてます。
おそらくナドラガンドが隔絶された神代の頃からこの地に先住し、
竜守りとしての役割を担い続けていると考えられます。




さて、私は竜族の世界・ナドラガンドに来てから、
あるものをずっと探していました。



バベルの塔の成り立ちや錬金術と深い関わりがあり、
聖鳥を崇めるこの世界にあって然るべきもの。









太陽

 光の根源たる、太陽です




聖鳥

前回の考察で、Ver.3.1に登場した聖鳥が
実は創生の女神の力の一端なのではないかと考えましたが、
それ以前にこの鳥さん、どう見ても
フェニックス(不死鳥)にしか見えないですよね。


ロザリー
 鳳翼天翔のバックに使えそうな絵だよね。

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 エテーネ村のロザリー、そのネタは2回目です。



フェニックスはキリスト復活のシンボルであり、
元を辿れば、エジプト・ヘリオポリス神話に行き着きます。


エジプト文明

ヘリオポリスは直訳すると、「太陽の町」。

エジプトは草木が生えない砂漠地帯なのですが、
ナイル川上流域ではモンスーンによる大雨が7月中旬に降る為、
水嵩が増すと共に肥沃な黒土が下流まで運ばれてきます。
この地に暮らす人々は、ナイルがもたらす黒土を灌漑農業に利用してきました。

しかし、ナイル川の増水には氾濫の危険が伴います。
エジプトの学者は危険を除き、豊かな実りだけを手にしようと考え、
7月の空に現れる恒星・シリウスに着目。
シリウスと太陽が同方角から昇る日(ヘリアカルライジング)を起点に
氾濫が365日周期で起こる事を突き止めます。

世界初の太陽暦(シリウス暦)の確立です。

シリウス暦は、バビロンやギリシャの学者と交流していた
アレクサンドリアへと持ち込まれて研究が進み、
1年をより正確に365.25日とするユリウス暦として改良されます。


ピラミッド

ヘリオポリスにおいて氾濫を知らせるシリウスの観測は、
国家を挙げて行う神事でもありました。
太陽暦の確立後は次第に太陽信仰へと移り変わっていきます。

エジプトにとって太陽は、生殺与奪の権利を握る死神であり、
ヘリオポリスで信仰されていた太陽神ラーは、
西の空に沈んでは東の空からまた昇る、
死と再生を繰り返す転生のシンボルとされていました。


ベンヌ

(引用:ベンヌ - Wikipedia

太陽神ラーには使いの鳥が居ました。
それがフェニックスの原型となる太陽の化身、聖鳥ベンヌです。
死者の魂を太陽神殿へと運び転生を促す役割を担い、
ヘリオポリス神話に何度も登場します。

太陽信仰はペルシアに伝わり、ミトラ教が誕生します。
ミトラ教は海を越えてローマ帝国でも大人気で、
キリスト教がその教義をパクって 取り入れ、
太陽の誕生日である冬至をキリストの誕生日としちゃったのは余談。
キリスト復活とフェニックスが、その名残だったりします。


ラー

聖鳥は太陽神に常に付き従う存在です。

つまり、聖鳥と太陽は1セットであり、
聖鳥ある所には必ず、太陽が無くてはなりません。



ですが、竜守りの巫女プリネラは、
太陽に関する衝撃の事実を告げたのでした…!





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> プリネラ
 この ナドラガンドには 昼夜がありません。
 いわば 光と闇の調和が失われた状態。



 ナドラガンド

 ナドラガンド2

 ナドラガンド3

(画像提供:ドラクエ10★最強攻魔導師になりたいハナさん)



ロザリー 昼夜が…ない!?


_2ufqsyraCYX05o1402383909_1402383914 太陽が存在しないって事ですか!?




この世界での太陽とはもちろん、
光の根源である女神ルティアナの事でしょう。


プリネラの言う「光と闇の調和が失われた状態」というのが正確なら、
聖鳥が魔炎鳥になるなど、ナドラガンドで起きていた不均衡は
全て女神ルティアナの不在が原因のはず。

竜族神ナドラガがそれに関与しているとすれば、
5種族神の怒りを買った理由も見えてくる気がします。


―――


日数

ちょっとここで、おかしな点がありますね。

この世界には昼夜の概念が無い、にも関わらず、
アペカ村の人達はギダがエステラに介抱される間を、
ひと晩」であると話していました。


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数日前に出かけていった 村の男たちが
 魔炎鳥を しとめてきてくれるよう
 祈るしかないわね……。



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 こちらの方は、「数日前」と明言しちゃってますね…。

ロザリー
 りっきー?



つまり、太陽は無いのに太陽暦が浸透している。

これはいったいどういう事なんでしょうか。



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アラハギーロ王国には、ピラミッドと太陽の歴史を反映した、
柱の影で時間を計る日時計が設置されています。

しかし竜族の世界には、時間を計測できる装置はどこにもありません。

竜族の人達が皮膚感覚か何かで
時間を察知している様子はありませんし、
魔法の力で何とかしていると考えるにも説得力に欠けます。


彼らはどうやって、1日の長さを知ったのでしょうか?



レグナード

ロザリー
 そう言えばレグナードさん、朝の6時きっかりに復活するよね。

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 よくよく考えたら不思議ですね。



常闇の竜レグナードは、ナドラガンドでは唯一、
時間の感覚を持った存在です。

いつどのタイミングで、何時何分に討伐しようが、
翌朝6時には光の封印が解け、闇の力を取り戻します。


討伐時のテキストを確認してみましょう。



【討伐失敗時】

 常闇の竜レグナードが 大きく咆哮すると
 竜鱗のまゆが 闇のチカラに満たされていく……!
 ロザリーは 意識を失った……。



【討伐成功時】

 ロザリーの持っている 竜牙石が輝き
 光のキバとなって 常闇の竜レグナードに
 次々と 撃ち込まれていく……。

 ロザリーは
 常闇の竜レグナードの封印に 成功した!




これを読む限りだと、レグナードの討伐に成功した場合、
竜鱗のまゆは闇の力を発生できなくなり、
竜族の世界は一時的に光の力の方に傾くようです。

つまりこの間だけ、お昼になるという事ですね。

そして現実世界の時間で6時になると、
竜麟のまゆが再び闇の力を活発化させていき、夜が訪れる。


ナドラガンドでは太陽の昇降が無い代わりに、
常闇の聖戦によって光と闇の明滅を繰り返していると考えられます。




レグナード


竜族の世界の時間は、レグナードさんがお知らせしていたのです!

レグナード暦」とでも呼ぶべきでしょうか。



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 毎朝毎朝叩き起こされたら、そりゃ寝覚めも悪くなりますよ。

ロザリー
 嵐のように怒りたくなるのも無理はなかった!





太陽

太陽と月の昇降を観察した回では、
アストルティアの1日は、現実世界の72分に相当し、
地球の20倍の速さでぐるぐる自転している事を確認しました。

ナドラガンドが現実世界の時間に即しているという事は、
竜族における1日の長さは、アストルティアとは異なるみたいですね。


アストルティアにもマイタケやレテリオのような、
「明日」の概念が20倍の長さの人達が居るんですが…。
時間感覚どうなってるんですかねマジで。


結論: ナドラガンドの暦はレグナード基準


―――


さて、太陽についての考察は、
今回のはただの前振りに過ぎません。

これまで進めてきたメインストーリーの中で、
アストルティアとナドラガンドの関係性がはっきりした事により、
実は大きな矛盾が生じています。




それがこちら。




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 この世界で 平和に 暮らしていた
 すべての 生きとし生けるものは
 滅亡の危機に さらされた。

 今 空には ふたつの太陽が 昇っている。
 ふたつめの太陽…… それが現れてから
 この世は 地獄と化してしまったのだ。

 いまわしき ふたつめの太陽は 自在に空を駆け
 大地を焼き 海を干上がらせ
 人々を 灼熱の絶望に おとしいれた。

 太陽が ふたつになった理由など 知る由もない。
 わかっていることは 地上に 生きる者すべてが
 滅亡しようとしているということだけだ。




ふたつの太陽は、レイダメテスの事だと思われていました。
しかし、偽りの太陽と神殿が現れたのは500年前となっています。

清き水の洞窟にあった壁画は、
間違いなく、アストルティアに竜族が居た時代に書かれたもの。
竜族がナドラガンドから切り離されたのは、
500年よりもはるか太古の、神代の頃だったはずです。

時系列がおかしいですよね。


竜族

竜族


もしかしたら、壁画に書かれていた「太陽」は、
文字通りの太陽を指すのではなく、
もっと象徴的な、太陽のような存在の事を指すのではないでしょうか?

例えば、女神ルティアナとか。


次回は、2つの太陽のミスリードから、
エテーネ島の壁画の謎を解き明かしていきます。(聖鳥と太陽(2)へ続く)