アストルティア考古学の44回目は、「2つの太陽」の考察です。
全3回を予定しているシリーズの中編です。
なお、ストーリーのネタバレを含んでますので、
その点をご同意頂ける方だけ、続きをご覧下さい。
【アストルティア考古学シリーズ】
・ 短評Ver.1 冥王編 神話篇
・ 短評Ver.2 蒼天のソウラ 夢現篇
・ 配信クエ カミハルムイ メギストリス カンダタ1 2 ダーマ
・ 光と魔瘴 1 2 3 ・ 赤い月 1 2 ・ レンダーシア大陸 1 2
・ 錬金術 1 2 3 ・ 創生の渦 1 2 ・ 運命の特異点 1 2
・ 光の勇者 1 2 ・ 叡智の冠 1 2 ・ 竜族と創造神 1 2 3
・ 進化の秘法 1 2 ・ 時渡りの術 1 2 ・ テンスの花 1 2
・ 神の器 1 2 ・世界樹の花 1 2 ・神話の塔 1 2
・ ナドラガ教団 1 2 ・聖鳥と太陽 1 2 New!
2つの太陽の壁画は、レイダメテスの事ではなかった…?
そうじゃないと時系列が合わないからね。
2つの太陽のミスリード。
「太陽」が直接的な表現ではないと仮定した時、
ナドラガンドが世界から隔絶された理由が浮かび上がってきます。
ひっさびさの3部構成となった考察。
それでは、どうぞ。
―――
今 空には ふたつの太陽が 昇っている。
ふたつめの太陽…… それが現れてから
この世は 地獄と化してしまったのだ。
2つめの太陽…ねぇ…。
ナドラガンドに太陽が無い事と何か関係あるんでしょうか?
まずこの壁画、よーく観察すると、
非常に興味深い事実が描かれてるんですよね。
そもそも6種族しか居ない
長く未踏の地であった清き水の洞くつには、
いしずえの森と同じ絵柄の種族画が残されています。
炎の民 オーガ
厳しい荒野で チカラ強く生きる
大きな身体に ツノと尻尾を持った者たち。
好戦的で 強き者を尊んだ彼らは
抜きん出た 強いチカラと体力で
弱き者や仲間のために 命をかけて戦った。
水の民ウェディ
海に浮かぶ美しい島々で 自由に生きる
青き水面のような色の 身体を持つ者たち。
束縛を嫌い 歌と恋を大切にする彼らは
速さと 強さという特性を生かして
愛する者を守る時にだけ 本気で戦った。
風の民 エルフ
自然を愛し 森と共に生きる
背に小さな羽を持った かれんな姿の者たち。
伝統と格式を重んじる彼らは
世界の理を 深く学び
多くの優れた呪文の使い手を 世に送り出した。
地の民 ドワーフ
雄大な山々に恩恵を受け 大地と共に生きる
小さな身体に 大きな耳を持った者たち。
高い技術力と 強い欲望を持つ彼らは
持ち前の 器用さと素早さで
いくつもの高度な文明を 築き上げた。
花の民 プクリポ
絵本のような色彩の町で 楽しさを求めて生きる
ふわふわと愛らしい 小さな身体の者たち。
強い魔力と 器用さを生まれ持つ彼らは
戦いより ものを作り出すことより
楽しさを生み出すことに 情熱をかたむけた。
勇の民 人間
どんな地でも 生きていける
大きくもなく 小さくもない身体の者たち。
秀でたところがないと思われていた彼らだが
危機に直面した時 決してくじけずに
立ち向かう 勇ましさを秘めていた。
空の民 竜族
はるか かなたより
世界を見守る 聖なる者たち。
彼らは 地上で 争いが起こると飛来し
その大いなるチカラで
またたく間に 平安をもたらしたという。
いしずえの森の石碑には、7つの種族は共生の誓いを立てた
「仲間」であると書かれていましたね。
よってこの絵が刻まれたのは、竜族がまだこの世界に居た神代、
ナドラガンドがアストルティアから切り離される前に描かれたものだったと、
以前の考察ではそのように推察しました。
ですが、2つの太陽の壁画だけは、
空の民・竜族の姿がどこにも描かれていないんです。
この壁画だけ後の時代に描かれた可能性もあるんですが、
500年前の出来事なら普通は紙媒体に残すはず。
わざわざ太古の時代にちなんで壁画に残す必要などありません。
あらっ…もしかしてこの2つの太陽は…。
よく見れば、ちょっと違うんだよね。
上の太陽には、竜族の絵にある「雲」が描かれてるんだよ。
あらほんと。
竜族の絵の足元に、雲が描かれている。
すなわちこれは、竜族が雲の上に暮らしていたという意味ですね。
空の民・竜族が暮らしていた雲の上の領域とは、
浮遊大陸ナドラガンドより以外には考えられません。
よって「雲」は、天空世界と地上を隔てる境界線を表しているのでしょう。
となると、2つの太陽が「雲」を挟んで上下に描かれているのは、
片方は浮遊大陸にあり、片方は地上にあったという事。
つまりこの壁画、文字通り雲の上の存在が、
地上に降りてきた事を意味する「象徴画」なのです。
もともと地上には、人間に寄り添うように描かれている
「鳥」が存在したと考えられます。
私がナドラガンドで太陽を探す事になったのは、
不思議の魔塔の鳥のレリーフを見て、
天空世界の神・ルティアナ=太陽神なのでは?と思ったからです。
バベルの塔を建設したバビロニアのニムロデ王は、
ハンムラビの時代から信仰されていた太陽神に傾倒し、
自らが天に昇り太陽に取って代わる事で、
天の代行者になろうとしたと言われています。
要するにバベルの塔は太陽信仰の象徴として建てられたもの。
不思議の魔塔のモデルがバベルの塔であると仮定するなら、
錬金術師ゾーネスが目指した神というのも、
太陽のような存在だった事は容易に想像が付きます。
「鳥」は天空世界と地上を結ぶ案内係なんだろうね。
いつか太陽のもとへ導いてくれる、と?
ナドラガンドで早々に「鳥」を発見したし…。
かつて浮遊大陸には太陽神が居た、という事でしょうか。
となると、2つの太陽の壁画が
何を象徴しているのかも見えてきますね。
「雲」の上の太陽…女神ルティアナ
「雲」の下の太陽…太陽に成り代わろうとした神
2つの太陽は、天空には神が2人居た事を表しており、
もう1人の神が女神ルティアナに成り代わって、
地上を支配しようとした事件を、象徴的に描いたものである、
と受け取れます。
―――
浮遊大陸のもう1人の神と言えば…?
もちろん、ナドラガ様ですよ。
もう1つの太陽をめぐる神話は、そのルーツを辿ると、
フェニキア人とフェニックスまで遡ります。
(引用:JAXA宇宙情報センター)
紀元前の時代において、星辰崇拝が行われていた事は
以前の考察で繰り返し述べてきましたが、
太陽暦を発見したエジプトでは主に太陽を、
太陰暦を発見したシュメールでは月を崇めてきました。
文明開化はメソポタミア地方のシュメール文明が最古とされていますが、
国家の統一を先に果たしたのはエジプトであり、
巨大ピラミッドが建造される第4王朝以降は国内が盤石になった為、
東方にあるシナイ半島へと外征し、
ビブロス(現在のレバノン)などの都市国家を玄関口とした、
メソポタミアとの異文化交流を行っていました。
この時、エジプトがメソポタミアから持ち帰った知識が、
黄道帯十二星座の観測法です。
エジプトでは、第3王朝まではホルス、セト、イシスなど、
自然や動物の崇拝が行われていました。
対してメソポタミアでは、都市国家の興亡が続いた時代から、
黄道帯の観測がジッグラトで行われ、
エジプトより進んだ観測法を用いていました。
エジプト・メソポタミアの両文明は、天文学の分野で混じり合います。
黄道帯の観測がより正確になった事で、
エジプトでは太陽と星々の位置を占う神官の地位が向上し、
第4王朝から第5王朝の時代になると、
太陽神ラーを中心とした星辰崇拝へと移り変わります。
そしてちょうどこの頃から、ヘリオポリス神話には
太陽に従属する使いとされる星が登場するようになります。
この星は、シュメールでは女神イナンナ(イシュタル)として、
都市国家の統一よりはるか以前の時代から神格化されており、
エジプトに入ってきた頃には既に、
225日周期で現れる事が確認されていました。
ヘリアカルライジング現象が起きる明け方に観測され、
シリウスよりも明るく輝く事から、明けの明星と呼ばれていました。
ご存じ、金星です
明けの明星…堕天使ルシファーの事じゃん!
太陽に成り代わろうとした神とは、もしかして…?
金星は、現在でこそ太陽系の内惑星として知られていますが、
自然や動物を崇拝していた頃の古代エジプトでは、
太陽に伴って立ち昇る「光」である事から、朝日=太陽の再生を象徴する、
聖鳥のイメージが与えられていた星でした。
明けの明星は、エジプトと交流のあったカナン(緑のエリア)では、
暁の神シャハルとしてより明確な教義を与えられています。
金星の神シャハルは、弟・宵の明星シャレムと一緒に、
日出前と日没後というわずかな間だけ、
太陽に代わって天の座に就き、地上を照らす役割を与えられていました。
ところが兄のシャハルは、天を支配する太陽を妬ましく思っており、
太陽神に対して反乱を起こし、敗北します。
カナン地方に住む人々の間では、
明けの明星は太陽になり損なった星と認識されていたそうで、
そこから太陽と金星が争う神話が生まれたとの事。
そこに目を付けたのが、エジプトから脱出してきた、
モーセ率いるユダヤの人々です。
ユダヤ人の祖先は、多神教時代の頃から唯一神を信仰しており、
第18王朝のアメンホテプ4世が一神教改革(アマルナ改革)を行った際、
激しい宗教弾圧を受け同胞が何人も殺された為、
我々の主こそ信ずべき神として、エジプトを脱出します。
モーセ達は、ユダヤの始祖が開いたカナンに入植しますが、
その頃のカナンには、海洋貿易で成り上がった地中海の新興勢力、
フェニキア人が先住していました。
ユダヤ人は当初、フェニキアの王に友好をもって迎えられるも、
カナンには別の最高神バアルが既に存在しており、
ここでも宗教対立が発生して両者は決裂。
ユダヤの聖地で別の神を偶像崇拝するとは何事か、というのが、
始祖アブラハムの血を引くモーセの言い分で、
最終的にユダヤ人は、武力でカナンの地を奪います。
ユダヤ人はユダヤ神話を新しく作り出す際、
エジプトやカナンに伝わっていた神話を下敷きとしました。
金星の神である聖鳥ベンヌは、暁の神シャハルと習合し、
フェニキア(Phoenicia)にちなんでフェニックス(Phoenix)と名付けられ、
後にキリスト復活のシンボルとなります。
金星が太陽に反乱を起こす神話は、聖鳥から切り離され、
明けの明星ルシファーが天に反逆する
天使と悪魔の戦いとして抽象化されます。
明けの明星は、もう1つの太陽神と捉えられてきたって事ね。
ようやく繋がった!
キリスト教の教義がやけに分かりにくいのは、
天体観測が背景にあった古代宗教を邪教として扱い、
それらを切り離しているからですね。
「キリストは太陽神の子である」と言っておけばいいのに、
太陽は神の創造物だから!太陽信仰なんて糞だから!としたばっかりに、
余計な注釈を付け足す羽目になっちゃったという。
―――
さて、予備知識を整理した所で、
改めて2つの太陽の壁画を見る事にしましょう。
まず、雲の上に描かれた「太陽」。
これは女神ルティアナを指していると見てよいでしょう。
不思議の魔塔が建てられた理由を考えても、
ナドラガンドに太陽神が居たのは間違いありません。
次に、地上の「太陽」。
これはナドラガ神をを指していると考えられます。
(参照:【考察】37.光と闇の最終戦争(前編))
竜族神ナドラガは、千年王国に予言された
魔王サタンに見立てられているというのがこれまでの考察の流れ。
ご存じのように、魔王サタンはかつて天界に在居しており、
元は堕天使ルシファーとされています。
ルシファーは金星の神でもあり、
明けの明星と呼ばれたもう1つの太陽です。
つまり2つの太陽の壁画は…?
女神ルティアナと竜族神ナドラガの
天の主導権争いを描いたもの、という事ですか。
となると、グランゼニス神殿のこの壁画も…?
清き水の洞くつの壁画と、同じ事柄を表しているんでしょうね。
太陽になれなかったナドラガは、魔王となって地上を襲い、
アストルティアを守護する6柱神によって封印された。
太陽=ルティアナ、金星=ナドラガと見た場合、
もう1つの太陽が地上を焦がし尽くす絵も、
巨大なドラゴンが地上を焼き払う絵も、
実はどちらもナドラガの離反を表していたと考えられるのです。
結論: 2つめの太陽はナドラガ神の事
さて、疑問はこれだけに留まりません。
人間に寄り添って描かれていた「鳥」。
その「鳥」は、ナドラガンドのフェザリアス山を住処としていました。
かつて自在に時空を飛び越えていたエテーネの民。
時空を飛び越える鳥と言えば、不死鳥ラーミア=レティスの事です。
聖鳥は生まれ変わりを促す転生のシンボルであり、
どちらかと言えば竜族なんかより、
主人公の方がそのイメージに重なります。
ではなぜ、聖鳥はエテーネの守り神にならなかったのでしょうか。
次回は、Ver.3.1最後の〆として、
エテーネの民と聖鳥の関係に迫ります。(聖鳥と太陽(3)に続く)
全3回を予定しているシリーズの中編です。
なお、ストーリーのネタバレを含んでますので、
その点をご同意頂ける方だけ、続きをご覧下さい。
【アストルティア考古学シリーズ】
・ 短評Ver.1 冥王編 神話篇
・ 短評Ver.2 蒼天のソウラ 夢現篇
・ 配信クエ カミハルムイ メギストリス カンダタ1 2 ダーマ
・ 光と魔瘴 1 2 3 ・ 赤い月 1 2 ・ レンダーシア大陸 1 2
・ 錬金術 1 2 3 ・ 創生の渦 1 2 ・ 運命の特異点 1 2
・ 光の勇者 1 2 ・ 叡智の冠 1 2 ・ 竜族と創造神 1 2 3
・ 進化の秘法 1 2 ・ 時渡りの術 1 2 ・ テンスの花 1 2
・ 神の器 1 2 ・世界樹の花 1 2 ・神話の塔 1 2
・ ナドラガ教団 1 2 ・聖鳥と太陽 1 2 New!
2つの太陽の壁画は、レイダメテスの事ではなかった…?
そうじゃないと時系列が合わないからね。
2つの太陽のミスリード。
「太陽」が直接的な表現ではないと仮定した時、
ナドラガンドが世界から隔絶された理由が浮かび上がってきます。
ひっさびさの3部構成となった考察。
それでは、どうぞ。
―――
今 空には ふたつの太陽が 昇っている。
ふたつめの太陽…… それが現れてから
この世は 地獄と化してしまったのだ。
2つめの太陽…ねぇ…。
ナドラガンドに太陽が無い事と何か関係あるんでしょうか?
まずこの壁画、よーく観察すると、
非常に興味深い事実が描かれてるんですよね。
そもそも6種族しか居ない
長く未踏の地であった清き水の洞くつには、
いしずえの森と同じ絵柄の種族画が残されています。
炎の民 オーガ
厳しい荒野で チカラ強く生きる
大きな身体に ツノと尻尾を持った者たち。
好戦的で 強き者を尊んだ彼らは
抜きん出た 強いチカラと体力で
弱き者や仲間のために 命をかけて戦った。
水の民ウェディ
海に浮かぶ美しい島々で 自由に生きる
青き水面のような色の 身体を持つ者たち。
束縛を嫌い 歌と恋を大切にする彼らは
速さと 強さという特性を生かして
愛する者を守る時にだけ 本気で戦った。
風の民 エルフ
自然を愛し 森と共に生きる
背に小さな羽を持った かれんな姿の者たち。
伝統と格式を重んじる彼らは
世界の理を 深く学び
多くの優れた呪文の使い手を 世に送り出した。
地の民 ドワーフ
雄大な山々に恩恵を受け 大地と共に生きる
小さな身体に 大きな耳を持った者たち。
高い技術力と 強い欲望を持つ彼らは
持ち前の 器用さと素早さで
いくつもの高度な文明を 築き上げた。
花の民 プクリポ
絵本のような色彩の町で 楽しさを求めて生きる
ふわふわと愛らしい 小さな身体の者たち。
強い魔力と 器用さを生まれ持つ彼らは
戦いより ものを作り出すことより
楽しさを生み出すことに 情熱をかたむけた。
勇の民 人間
どんな地でも 生きていける
大きくもなく 小さくもない身体の者たち。
秀でたところがないと思われていた彼らだが
危機に直面した時 決してくじけずに
立ち向かう 勇ましさを秘めていた。
空の民 竜族
はるか かなたより
世界を見守る 聖なる者たち。
彼らは 地上で 争いが起こると飛来し
その大いなるチカラで
またたく間に 平安をもたらしたという。
いしずえの森の石碑には、7つの種族は共生の誓いを立てた
「仲間」であると書かれていましたね。
よってこの絵が刻まれたのは、竜族がまだこの世界に居た神代、
ナドラガンドがアストルティアから切り離される前に描かれたものだったと、
以前の考察ではそのように推察しました。
ですが、2つの太陽の壁画だけは、
空の民・竜族の姿がどこにも描かれていないんです。
この壁画だけ後の時代に描かれた可能性もあるんですが、
500年前の出来事なら普通は紙媒体に残すはず。
わざわざ太古の時代にちなんで壁画に残す必要などありません。
あらっ…もしかしてこの2つの太陽は…。
よく見れば、ちょっと違うんだよね。
上の太陽には、竜族の絵にある「雲」が描かれてるんだよ。
あらほんと。
竜族の絵の足元に、雲が描かれている。
すなわちこれは、竜族が雲の上に暮らしていたという意味ですね。
空の民・竜族が暮らしていた雲の上の領域とは、
浮遊大陸ナドラガンドより以外には考えられません。
よって「雲」は、天空世界と地上を隔てる境界線を表しているのでしょう。
となると、2つの太陽が「雲」を挟んで上下に描かれているのは、
片方は浮遊大陸にあり、片方は地上にあったという事。
つまりこの壁画、文字通り雲の上の存在が、
地上に降りてきた事を意味する「象徴画」なのです。
もともと地上には、人間に寄り添うように描かれている
「鳥」が存在したと考えられます。
私がナドラガンドで太陽を探す事になったのは、
不思議の魔塔の鳥のレリーフを見て、
天空世界の神・ルティアナ=太陽神なのでは?と思ったからです。
バベルの塔を建設したバビロニアのニムロデ王は、
ハンムラビの時代から信仰されていた太陽神に傾倒し、
自らが天に昇り太陽に取って代わる事で、
天の代行者になろうとしたと言われています。
要するにバベルの塔は太陽信仰の象徴として建てられたもの。
不思議の魔塔のモデルがバベルの塔であると仮定するなら、
錬金術師ゾーネスが目指した神というのも、
太陽のような存在だった事は容易に想像が付きます。
「鳥」は天空世界と地上を結ぶ案内係なんだろうね。
いつか太陽のもとへ導いてくれる、と?
ナドラガンドで早々に「鳥」を発見したし…。
かつて浮遊大陸には太陽神が居た、という事でしょうか。
となると、2つの太陽の壁画が
何を象徴しているのかも見えてきますね。
「雲」の上の太陽…女神ルティアナ
「雲」の下の太陽…太陽に成り代わろうとした神
2つの太陽は、天空には神が2人居た事を表しており、
もう1人の神が女神ルティアナに成り代わって、
地上を支配しようとした事件を、象徴的に描いたものである、
と受け取れます。
―――
浮遊大陸のもう1人の神と言えば…?
もちろん、ナドラガ様ですよ。
もう1つの太陽をめぐる神話は、そのルーツを辿ると、
フェニキア人とフェニックスまで遡ります。
(引用:JAXA宇宙情報センター)
紀元前の時代において、星辰崇拝が行われていた事は
以前の考察で繰り返し述べてきましたが、
太陽暦を発見したエジプトでは主に太陽を、
太陰暦を発見したシュメールでは月を崇めてきました。
文明開化はメソポタミア地方のシュメール文明が最古とされていますが、
国家の統一を先に果たしたのはエジプトであり、
巨大ピラミッドが建造される第4王朝以降は国内が盤石になった為、
東方にあるシナイ半島へと外征し、
ビブロス(現在のレバノン)などの都市国家を玄関口とした、
メソポタミアとの異文化交流を行っていました。
この時、エジプトがメソポタミアから持ち帰った知識が、
黄道帯十二星座の観測法です。
エジプトでは、第3王朝まではホルス、セト、イシスなど、
自然や動物の崇拝が行われていました。
対してメソポタミアでは、都市国家の興亡が続いた時代から、
黄道帯の観測がジッグラトで行われ、
エジプトより進んだ観測法を用いていました。
エジプト・メソポタミアの両文明は、天文学の分野で混じり合います。
黄道帯の観測がより正確になった事で、
エジプトでは太陽と星々の位置を占う神官の地位が向上し、
第4王朝から第5王朝の時代になると、
太陽神ラーを中心とした星辰崇拝へと移り変わります。
そしてちょうどこの頃から、ヘリオポリス神話には
太陽に従属する使いとされる星が登場するようになります。
この星は、シュメールでは女神イナンナ(イシュタル)として、
都市国家の統一よりはるか以前の時代から神格化されており、
エジプトに入ってきた頃には既に、
225日周期で現れる事が確認されていました。
ヘリアカルライジング現象が起きる明け方に観測され、
シリウスよりも明るく輝く事から、明けの明星と呼ばれていました。
ご存じ、金星です
明けの明星…堕天使ルシファーの事じゃん!
太陽に成り代わろうとした神とは、もしかして…?
金星は、現在でこそ太陽系の内惑星として知られていますが、
自然や動物を崇拝していた頃の古代エジプトでは、
太陽に伴って立ち昇る「光」である事から、朝日=太陽の再生を象徴する、
聖鳥のイメージが与えられていた星でした。
明けの明星は、エジプトと交流のあったカナン(緑のエリア)では、
暁の神シャハルとしてより明確な教義を与えられています。
金星の神シャハルは、弟・宵の明星シャレムと一緒に、
日出前と日没後というわずかな間だけ、
太陽に代わって天の座に就き、地上を照らす役割を与えられていました。
ところが兄のシャハルは、天を支配する太陽を妬ましく思っており、
太陽神に対して反乱を起こし、敗北します。
カナン地方に住む人々の間では、
明けの明星は太陽になり損なった星と認識されていたそうで、
そこから太陽と金星が争う神話が生まれたとの事。
そこに目を付けたのが、エジプトから脱出してきた、
モーセ率いるユダヤの人々です。
ユダヤ人の祖先は、多神教時代の頃から唯一神を信仰しており、
第18王朝のアメンホテプ4世が一神教改革(アマルナ改革)を行った際、
激しい宗教弾圧を受け同胞が何人も殺された為、
我々の主こそ信ずべき神として、エジプトを脱出します。
モーセ達は、ユダヤの始祖が開いたカナンに入植しますが、
その頃のカナンには、海洋貿易で成り上がった地中海の新興勢力、
フェニキア人が先住していました。
ユダヤ人は当初、フェニキアの王に友好をもって迎えられるも、
カナンには別の最高神バアルが既に存在しており、
ここでも宗教対立が発生して両者は決裂。
ユダヤの聖地で別の神を偶像崇拝するとは何事か、というのが、
始祖アブラハムの血を引くモーセの言い分で、
最終的にユダヤ人は、武力でカナンの地を奪います。
ユダヤ人はユダヤ神話を新しく作り出す際、
エジプトやカナンに伝わっていた神話を下敷きとしました。
金星の神である聖鳥ベンヌは、暁の神シャハルと習合し、
フェニキア(Phoenicia)にちなんでフェニックス(Phoenix)と名付けられ、
後にキリスト復活のシンボルとなります。
金星が太陽に反乱を起こす神話は、聖鳥から切り離され、
明けの明星ルシファーが天に反逆する
天使と悪魔の戦いとして抽象化されます。
明けの明星は、もう1つの太陽神と捉えられてきたって事ね。
ようやく繋がった!
キリスト教の教義がやけに分かりにくいのは、
天体観測が背景にあった古代宗教を邪教として扱い、
それらを切り離しているからですね。
「キリストは太陽神の子である」と言っておけばいいのに、
太陽は神の創造物だから!太陽信仰なんて糞だから!としたばっかりに、
余計な注釈を付け足す羽目になっちゃったという。
―――
さて、予備知識を整理した所で、
改めて2つの太陽の壁画を見る事にしましょう。
まず、雲の上に描かれた「太陽」。
これは女神ルティアナを指していると見てよいでしょう。
不思議の魔塔が建てられた理由を考えても、
ナドラガンドに太陽神が居たのは間違いありません。
次に、地上の「太陽」。
これはナドラガ神をを指していると考えられます。
(参照:【考察】37.光と闇の最終戦争(前編))
竜族神ナドラガは、千年王国に予言された
魔王サタンに見立てられているというのがこれまでの考察の流れ。
ご存じのように、魔王サタンはかつて天界に在居しており、
元は堕天使ルシファーとされています。
ルシファーは金星の神でもあり、
明けの明星と呼ばれたもう1つの太陽です。
つまり2つの太陽の壁画は…?
女神ルティアナと竜族神ナドラガの
天の主導権争いを描いたもの、という事ですか。
となると、グランゼニス神殿のこの壁画も…?
清き水の洞くつの壁画と、同じ事柄を表しているんでしょうね。
太陽になれなかったナドラガは、魔王となって地上を襲い、
アストルティアを守護する6柱神によって封印された。
太陽=ルティアナ、金星=ナドラガと見た場合、
もう1つの太陽が地上を焦がし尽くす絵も、
巨大なドラゴンが地上を焼き払う絵も、
実はどちらもナドラガの離反を表していたと考えられるのです。
結論: 2つめの太陽はナドラガ神の事
さて、疑問はこれだけに留まりません。
人間に寄り添って描かれていた「鳥」。
その「鳥」は、ナドラガンドのフェザリアス山を住処としていました。
かつて自在に時空を飛び越えていたエテーネの民。
時空を飛び越える鳥と言えば、不死鳥ラーミア=レティスの事です。
聖鳥は生まれ変わりを促す転生のシンボルであり、
どちらかと言えば竜族なんかより、
主人公の方がそのイメージに重なります。
ではなぜ、聖鳥はエテーネの守り神にならなかったのでしょうか。
次回は、Ver.3.1最後の〆として、
エテーネの民と聖鳥の関係に迫ります。(聖鳥と太陽(3)に続く)
太陽の壁画は神話を表していた。
【考察】44.2つの太陽のミスリード
https://t.co/H1pYIURlqa #ドラクエブログ pic.twitter.com/stg1p7D29H
— ロザリー@DQ10考古学者 (@DeathPisaro) 2015, 12月 6
コメント
コメント一覧 (8)
大変面白いのですが残念な事に
話についていけないのか、飽きたのか
時間が経つ毎にロザリーさんの前に立ってみたり
走り回ったり、仕草で音を立てたりする輩も
出始めて来て雰囲気ぶち壊しですね・・・。
ドラクエ10の短いチャットシステムでは
進行大変だと思いますが
引き続き楽しませて貰いますので
最後まで頑張ってください!
ツイッターでもフォローさせていただきいつも聖書や神話を元にした考察に感心するばかりです。
今回ルティアナとナドラガの関係性について考察されていますが、ナドラガが謀反を起こしたでなくルティアナとナドラガが共謀してグランゼニスから世界の主導権を奪おうとした、とは考えられないでしょうか?
黙示録の赤い竜=サタンと言う説もありますがそれがアバドンと言う解釈もありますよね?
そしてこの物語が完結していない、未だ進行している物と考えると
500年前の戦いは黙示録における8章六節からの七人の天使がラッパを吹く場面をイメージしており人の神ルティアナ=天使、ナドラガ=悪魔と見ると本来の人の神グランゼニスと五種族の神を否定し、迫害した上で竜族の支配を作るべく要所要所に竜やナドラガンドのような意匠が施されたレイダメテスを作り上げる(ネルゲルが竜族に似ているのでは、と言う憶測も少し含まれてしまいますが)そして現在進行しているストーリーがサタン=アバドン=ナドラガとルティアナ、そして殉教者=主人公(ここではエテーネ、弟のために死んだ。と言う事を加味してそう呼びます)人五種族=獣の刻印を拝まなかった者達(レイダメテスに対抗した者達)の千年王国の後の最後の戦いを表している、とも思えてしまいます。創世の霊核がカジノ大魔王に渡った事、奈落の門の先にルティアナが封じられている事が実は一連の戦いがこの二柱が共謀し企てた事とも考えられると思うのですが……
黙示録を適当にドラクエに落とし込んだガバガバな理論ですがどうでしょう?
記事とはほぼ関係なくて恐縮ですが、右上のステータスの画面で今まではあまり興味なさそうな職は全然上げていなかったイメージだったんですが、ブックマークでたまにブログ見に来るたびに最近他職のレベルもあがっているなーって思っておりまして、今日見たらいつのまにかカンストしておる!
どちらが真の太陽でどちらがレイダメテスとなるのでしょうか?
門の奥にあった大魔王が探してた創生の力は女神ルティアナの力ですよ