アストルティア考古学の47回目は、「常世」の考察です。

全2回を予定しているシリーズの後編です。

なお、ストーリーのネタバレを含んでますので、
その点をご同意頂ける方だけ、続きをご覧下さい。

【アストルティア考古学シリーズ】
 ・ 短評Ver.1 冥王編 神話篇
 ・ 短評Ver.2 蒼天のソウラ 夢現篇

 ・ 配信クエ カミハルムイ メギストリス
 カンダタ1 2 ダーマ

 ・ 光と魔瘴 1 2 3  ・ 赤い月 1 2
  ・ レンダーシア大陸 1 2
 ・ 錬金術 1
 2 3  ・ 創生の渦 1 2  ・ 運命の特異点 1 2
 ・ 光の勇者 1
 2  ・ 叡智の冠 1 2  ・ 竜族と創造神 1 2 3
 ・ 進化の秘法 1
 2  ・ 時渡りの術 1 2  ・ テンスの花 1 2
 ・ 神の器 1 2  ・世界樹の花 1 2  ・神話の塔 1 2
 ・ ナドラガ教団 1 2  ・聖鳥と太陽 1 2 3  ・創生の霊核 1 2 New!
 








ロザリー
 メインストーリーにほとんど進展が無かったけど…。

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 大きな収穫がありましたね。









常闇の竜レグナードは、やはりただのバトルコンテンツではありませんでした。

光と闇の調和が失われた「昼夜なき世界」。

これが後々まで効いてくる大きな伏線であった事が、
3.2ストーリーのクリア後に明示されたのでした。


それでは、どうぞ。




―――


クロウズ


ロザリー
 創生の霊核のありかって、あそこしか無いじゃん。

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 と言うより、前に一度見てますよ。




前回の続き。


創生の霊核の力は、マデサゴーラ戦で既に目撃しています。

奈落の門の奥から溢れ出てましたよね。




創生の霊核

トーマがぶち破った扉の向こうから、光の束が…



マデサゴーラ

大魔王はこの力を得て、世界を創り変えようとしていました。



ロザリー つまり、最初に天馬ファルシオンが言った通り、
 創生の霊核は「奈落の門の向こう側にある」で確定なのね。

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 そこまでははっきりしてます。





では肝心の、門の向こう側はどうなっていたか?


黒ひげ危機一髪


誰が最初に主人公にネタバレするかゲーム。

世界の謎に気付かれた人の負け。


主人公の兄弟やシオンが思わせぶりな発言を続け、
5種族神まで加わったこの遊びでしたが、
思わぬ方向からの刺客によって、終焉を迎える事となりました。




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いざないの間の門番・バジネヅさん。

噛みそうなお名前。


ネタバレさせてはいけないルールが伝わっていなかったのか、
この人物だけは、おもっきし答えを言ってました。


 ……これなるは 常世の門。
 ナドラガンドと アストルティアにある
 奈落の門をつなぐ 唯一の道筋なり。



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 常世の門…!

ロザリー
 門の先にも門があった!




姿形もスッケスケです。
情報漏洩させる気まんまんです。

さらにバジネヅさん、こう続けます。


 我は この いざないの間の番人。

 この地に満ちたる 悪しき怨念を封じんがため
 我は 長きにわたり 門を閉ざしてきた。

 はるか遠い昔……竜化の術を得たものの
 そのチカラのもたらす おごりに逆らえぬ
 愚か者たちが 大挙して 押し寄せてきた。

 彼らは まだ見ぬ未知の世界 アストルティアで
 破壊の限りを尽くさんと たくらみ
 常世の門を くぐり抜けようとしていたのだ。

 我は その暴走を危ぶみ 竜たちをもろともに
 ここへ封印したが…… その 怒り狂える怨念は
 彼らの死後も この場に とどまり続けていた。


 しかし近年 門の先……奈落の門の扉が開かれ
 竜たちの怨念は みな いずこかへ飛び去った。


 もはや ここを封印している理由もない……。
 とはいえ 自由に 通らせるわけにもいかぬ。



ロザリー
 おいおい…これって…?

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 マデサゴーラ戦の後に起きたやつですよね?





竜族

 悪しき竜の怨念です



つまり、奈落の門の向こう側は直にナドラガンドには繋がっておらず、
謎のモヤモヤ空間と、いざないの間を経由していました。


大魔王に力を与えた光は、そこから漏れ出ていました。



常世の門


図解にするとこんな感じですかね。


バジネヅさん曰く、いざないの間にある常世の門は、
アストルティアを侵略しようとしていた竜族を封印した場所です。

トーマ兄さんが奈落の門の封印を破った時点では、
常世の門の扉と、聖都エジャルナへの扉は2重にロックされていましたから、
ナドラガンドから光が届く事はあり得ません。

従って創生の霊核は、モヤモヤ空間が広がる、
奈落の門と常世の門の間に存在している事になります。



ロザリー
 クロウズさんも現場を見ていたから目星が付いたのかな?

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 後で具体的な在処を調べたんでしょうか?



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しかし重要なのは場所ではなく、その構造です。

奈落の門の奥の構造が判明した事で、
とある事実が浮き彫りになりましたよね。


ナドラガンドには、光が届いていないという点です。



オルストフ

3.2の最後では、総主教オルストフの口から、
竜族の夜明け」という意味深な台詞が出てきました。


炎の領界の守り神として祀られる聖鳥が、
フェニキア地方の伝承にあるフェニックス(太陽の使い)と同義であるなら、
太陽の使いが死者の魂を集めて帰る場所は、
夜明けと同時に再生する太陽のもとに決まっています。

創生の霊核が魂の集合体(マクロコスモス)であり、
聖鳥が運んできた死者の魂の再生を促しているのだとすると、
生命創造の光をもたらす創生の霊核は、
ナドラガンドにとって太陽のような存在のはずです。


ロザリー
 女神ルティアナが太陽の管理人をやってるはずなんだけど…。

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 今は不在っぽいですよね。



日食

太陽の光が届いてないという事は、
つまりナドラガンドは「常夜」の状態であるという事。

大魔王ゾーマによって光を閉ざされたアレフガルドと同じです。


しかもその理由がいざないの間の構造にあり、

 ・ 常世の門と聖都エジャルナの扉を開放する
 ・ 門の先から太陽光の道筋(Ley Line)を付ける


この2点をクリアにしない限り、
ナドラガンドには絶対に夜明けはやって来ないのが、
バジネヅさんがお漏らしした、竜族の世界の真相なのです。


―――


常世の門

全ての謎を解くカギは、バジネヅさんが示唆した、
常世」のキーワードにあります。


ロザリー
 「夜明け」とめっちゃ関係ある言葉だからね。

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 なんと…!



 上代特殊仮名遣い

 引用:(万葉仮名 - Wikipedia

日本語には奈良時代より以前まで、「イi」「エe」「オo」の発音に対し、
二種類の漢字を当てる仮名遣いがありました。

これを、上代特殊仮名遣いと言います。


「とこよ」の発音に対しても、
常夜」と「常世」の2つが当てられています。




古事記


古事記の上巻には、その両方が使用された段があり、
それぞれ別々の意味として使い分けられています。


故於是、天照大御神見畏、開天石屋戸而、刺許母理此三字以音坐也。
天照大御神はそれを見て恐れ、天の岩屋の戸を閉ざし籠った。

爾高天原皆暗、葦原中國悉闇、因此而常夜往。
すると高天原は一面暗くなり、葦原中国は闇になった。こうしてずっと夜は続いた。

於是萬神之聲者、狹蠅那須此二字以音滿、萬妖悉發。
大勢の神々の声が、田んぼの蝿のように騒めき、多くの災いが悉く起こった。

是以八百萬神、於天安之河原、神集集而訓集云都度比
そこで八百万の神々が、天の安の河の河原に集まり、

高御產巢日神之子・思金神令思訓金云加尼而、
タカミムスビの子・オモイカネに思案させ、

常世長鳴鳥、令鳴而、
常世の長鳴き鳥を集め鳴かせた


(以下略)


本居宣長

『古事記伝』の著者・本居宣長によれば、


 常世の長鳴鳥とは雞(鶏)をいふ、
 常世は常夜にて、常世とは本より別なり。

 されど言の同きまゝに通はして、
 字には抅(拘)わらず書るは古の常なり、
 こは今かく常夜往時に集て鳴せし鳥なるもて、
 後に負し称なるを、其始へ廻て如此云るなり。



曰く、常世の長鳴鳥はニワトリの事で、
夜明けを告げる為に鳴かせたから、
後の時代になって「常夜」が「常世」の字に転じた。

よって「とこよ」は、元々は「常夜」と書く。


としていますが、

これは江戸時代以降に研究が進んだ
上代特殊仮名遣いのルールから見ると正確ではなく、

 ・ 甲類の発音を行う「常夜(tokoyo)
 ・ 乙類の発音を行う「常世(tokoyö)

同じ音に対し、二種類の意味が存在したと考えられています。


常世

 引用:(現世 - Wikipedia

常夜」は、永遠に続く夜の事です。

『日本書紀』では、「常夜」と書いて「とこやみ」と読ませるなど、
太陽の光が閉ざされて辺り一面が真っ暗になってる様子を指します。

常世」は、夜が明けて太陽が昇った昼間を指します。

「とこよ」と言えば死後の世界を表すのですが、
死のイメージが「常夜」で、再生のイメージが「常世」となるのが、
具体的な使い分けのルールだったようです。

どちらも同じ「神域」なのですが、
明と暗がはっきり分かれているのです。



ロザリー 要するにバジネヅさんも、オルストフの爺さんも、
 どちらも「夜明け」を口にしているって事だよ!

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 完全にフラグじゃないですか。




伊勢神宮

『古事記』『日本書紀』の記紀神話の編纂を
国家プロジェクトとして始めたのは、
第40代・天武天皇(大海人皇子)です。

甥っ子・大友皇子に対して軍事クーデター(壬申の乱)を起こした際、
伊勢神宮に戦勝祈願を行ったのをきっかけに、
本宮の祀神である天照大神を特別に引き立てるようになり、
先代・天智天皇(中大兄皇子)より以前には無かった、
天皇家の太陽信仰を『日本書記』に記載し、
国書で使用する国号を、「倭」→「日本」に全て改めています。

日本(ひのもと)」は、日出づる国を表す言葉で、
大和地方の最東端にある伊勢国を、
天武天皇は太陽に最も近い国と見ていました。


レイライン

日本の神社と太陽の関係を表す図です。
太陽の通り道にあるパワースポットを結んだ線を、
レイライン(Ley Line)と言います。

春分・秋分の日に通る真横のレイライン上には、
富士山と同じ緯度(北緯35度23分)に出雲大社が建てられるなど、
日本では古くから神社の建立場所を
ご来光の方角に従って選定してきたという説があります。


レイライン

大和地方のレイラインでは、伊勢神宮=朝日、
淡路島の伊弉諾(イザナギ)神宮=夕日として神格化されており、
伊勢-淡路ラインの最も東に位置する二見浦は、
天武天皇が『日本書記』の中で、


常世

引用:(倭姫命 - Wikipedia


 常世の浪の重浪帰する(常世の波が押し寄せる)国


というご神託を授かった、垂仁天皇を起源譚とする
太陽信仰の発祥の地に組み込んだ場所です。


常世

記紀神話より、天武天皇は常世の所在地を、
太陽が昇る水平線の先にあると考えていたようなのです。


常夜=夜、常世=夜明けを表すイメージとして
国書の中で使い分けを行っていたのは、
編纂責任者である天武天皇の発意であったと思われます。




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 じゃあ「常世」の門というのも、もしかして…?

ロザリー
 門の向こうに太陽があるっていう、裏付けになるのさ。

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 な、なんだってー!?

ロザリー
 つまり常世の門は、ご来光を迎え入れる鳥居なんだよ。



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ロザリー
 反対側にある奈落の門は、きっと常夜(死)の世界の入口ね。

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 「奈落」が死を、「常世」が再生を表すって事ですか。



―――


ピナヘト

となると、なぜアストルティアの5人の種族神が
対立するナドラガ神の復活に力を貸しているのかも分かります。




ハナちゃん

これまでの考察で、錬金術と神話の関係から、
人間と竜族の対立構図を導き出し、その原因を探ってきました。

しかし、聖書の創世神話と符号しない2つの点が、
個人的に引っかかってたんですよね。


すなわち、

太陽神ルティアナが唯一神ではない事。


そして、

太陽神ルティアナが女性である事。


太陽暦を採用する国では、女性が太陽とされる事はまずありません。
しかも太陽は唯一無二の神であり、
太陽から派生した宗教は、唯一神のみを信仰してます。


ゴフェル計画や神話の塔など、アストルティア世界の伝承が
旧約聖書を下地にしているのは明らかです。

なのになぜ、肝心要である唯一絶対の存在だけが、
そのルール外れているのか?




この疑問を、「常世」のキーワードが解決してくれました。




天照大神

アストルティアの神域が「常世(常夜)」であるなら、
そこに住まう神は、間違いなく常世神の事です。

常世の太陽神と言えば、常夜の世界に夜明けを告げる女神、
天照大神しか居ませんよね。




天の岩戸

竜族の世界・ナドラガンドが夜の状態になったのは、
マティル村の祭祀を見る限り、太陽神の不在が原因だと考えられます。

問題はなぜ太陽神が居なくなったのか、です。
これは、竜族の神ナドラガが女神に逆らったからではないのか?


天の岩戸の伝承でも、悪神・須佐之男(スサノオ)が、
天照大神に逆らった為に、世界が闇に閉ざされています。

そして太陽神を岩戸の奥から出そうと画策したのが、


 思金神(オモイカネ)
 天児屋根神(アメノコヤネ)
 天手力男神(アメノタヂカラオ)
 天鈿女神(アメノウズメ)
 天太玉神(アメノフトダマ)
 天羽槌雄神(アメノハヅチオ)



この6神を中心とした、八百万の神々です。


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 もしやこの八百万の神々というのが…。

ロザリー
 アストルティアの神々に当たるんじゃなかろうかと思ってね。





つまり、こういう事です。




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女神ルティアナは太陽(創生の霊核)と一緒に、
岩戸(常世の門)の奥に閉じ込められている。

ナドラガ神の悪行が原因である。

種族神らは、女神の封印を解こうと画策しており、
女神の封印が解ければ、ナドラガンドにも夜明けが訪れる。




常世ビーム

先ほどの図解を使って説明しましょう。

現在、創生の霊核の光(レイライン)は、
奈落の門の方を向いています。

常世から見たアストルティアは「現世」に当たり、
奈落の門を挟んだ向こう側は全て「常夜(死後の世界)」です。


常世ビーム

女神の不在に困ったアストルティアの種族神らは、
解放者に協力し、いざないの間の扉を開けようとしています。

ナドラガ神に対する思惑はまだ不明ですが、
開放されたら、ナドラガンドにも光が誘導されるはずです。




常世

めでたく女神ルティアナの封印が解けた!




ついでにナドラガ神の封印も解けます。

ついでです。




世界樹の花


種族神らの狙いは、来たる闇の根源との闘いの準備にあるのでしょう。
その為に沈んだ太陽を引き上げようとしている。

全ての領界をひとつに繋いだ時、
その存在だけが語られていた女神ルティアナが、
冒険者の前に姿を現す、かも知れません。


ロザリー
 とりあえず安全確認に4か月かかるのを何とかしてくれ。

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 それはもっと上位の神に言わないと…。



結論: 常世の門の先は女神の神域



オルストフ

解放者がその手でつかむ光明のきざし。

次のVer.3.3で、メインストーリーに大きな動きがありそうですね。
その時まで首を長くして待っておこうと思います。